近年、日本において『ザ・ゴール』がベストセラーとなり、企業がいかにこの不況打開策を求めているかの証明ともなっています。その中で、企業の目的は「現在から将来にわたってお金を儲けること」であるとし、しごく当たり前なことがかえって新鮮に聞こえるぐらいに、私たちの目を覚まさせてくれました。

 著者のエリヤフ・ゴールドラットは3つの要素、つまり「スループット」「在庫」「経費」によって企業を診断することを説き、中でもスル−プットの重要性を強調しています。

 スループットとは、コンピュータの世界では単位時間当たりの処理量を表し、コンピュータの処理能力を計る言葉として、しばしば用いられてきた言葉ですが、ここでは、所定時間内のキャッシュ獲得量を言い、ほぼ時間の要素を含んだ粗利の意味に相当します。

 つまり、システムの目的もここにあるということです。

 いくらいいシステムを作っても、企業のスループットが増大しなければ、企業の目的と一致していないということです。

 システム開発でよく陥る落とし穴に、手段が目的化してしまうことがままあります。特に優秀な技術者ほど、この落とし穴に陥りやすいと言えます。

 つまり、技術者は技術力の高い仕事ほど情熱を燃やして仕事をする傾向にありますが、たとえそのシステムが技術的に高度であったとしても、企業の目的に対して役に立たなければ何の意味もありません。

 要するに、そのシステムが企業の売上の向上という目的、つまりスループットの増大に寄与しているのかと言うことが特に求められるようになってきたということです。ですから、このシステムの目的は何かということを常に自問自答することが大切です。

 つまり、

(1)
このシステムは、直接、間接を問わずスループット増につながるものか
(2)
どこを工夫すれば、スループット増につながるのか
(3)
このシステムは、必要な時にスループット値を具体的表示できるようになっているのか
(4)
スループットを阻害している要因は何か。そして、それは、どのようにシステム化すれば、取り除くことができるのか
(5)
スループットに影響を与える環境の変化に、このシステムは素早く追従していくことができるのか

 以上が考えられますが、大切なことは、情報システムの導入の動機が、単に「他社も使っているから」とか、「何しろIT化しなくてはならないから」などと他律的になっていては、どこまでも振り回されるだけとなります。

 自分でよく考えて、自社の強みをよく見極め、自社の強みと個性を生かしたシステムの導入をしていくべきです。そして、何のためのシステムであるかという目的性を常に忘れず、また、導入後においては必ずシステム化の成果の確認も忘れないことが大切です。

 どれだけシステム化の効果が出ているのか、システム導入によって、売上や在庫、経費はどのように変わっていったのか、これらを客観的に評価していくことがこれからのIT化にとって不可欠になっていくものと思われます。今やそういった投資効果が問われる時代になったということではないかと思います。(その評価指標としてROI:Return On Investment投資回収率等がある)

 以上述べさせていただきましたが、当たり前のことだと思われた方も多いのではないかと思います。そうです、当たり前のことが実は難しいのです。

 
     
     

 

  Rsun,株式会社アールサン,データベース中心主義,確実にスループットを上げるためのシステムであるために