コンピュータの利用技術は年々進化していますが、でもまだまだ人間が自然体で扱えるところまでは至っていないというのが現状です。

 特にコンピュータはあいまいな情報を扱うことを苦手としており、人間では「あれ」で分かることも、コンピュータでは理解ができません。コンピュータに「あれ」を理解しろというのは極端としても、単に名称を扱うことにおいても、コンピュータはどう理解すればいいのか分からないことが多くあります。

 そこで、企業の名称を例にとって考えてみましょう。
 例えば、次の企業名が指定されたとします。

   (1)株式会社アールサン
   (2)(株)アールサン
   (3)Rsun 
   (4)RSUN

 これらは、人間の認識ではすべて同じ会社を指しますが、コンピュータでは、ロジックがなければ同一の会社であると認識することはできません。

 そこで、コンピュータの都合に合わせるために、従来から「コード付け」という手法が一般的に採られてきました。もし、コードが同じであれば、それらの情報は同一のものであるとコンピュータで判断することができます。

 つまり、先ほどの企業名では、企業コードが同じならばすべて同一のものであるとコンピュータで見なすことができるのです。

企業コード
企業名
007
株式会社アールサン
007
(株)アールサン
007
Rsun
007
RSUN

 一方、逆に人間は、単なる数字の羅列を丸覚えすることには苦手で、このコンピュータと人間との橋渡しをいかにスマートに、しかも効率よく行うかが人間にとって使いやすいシステムとなるかの分かれ目となります。

 従来まで、データ入力作業(データエントリ作業)には、専用のオペレータがコードだけを高速に入力していくというスタイルが多く採り入れられてきました。(専用オペレータがキーパンチャーと呼ばれていた時代もありました)

 しかしながら、今や企業はそのような専用のオペレータを確保しておく余裕はなくなり、一般社員でデータ入力をすることが当たり前となりました。従って、一般社員でも分かりやすくデータを入力できる画面が求められているのです。

コード選択のための支援機能

 その解決策の一つとして、例えば名称の一部の文字を入力すると、それを含む名称がデータベースから即座に検索されて、その結果がリスト形式で表示され、その中から人間が選ぶという方法が考えられるでしょう。

 次の例は、名称の一部として「アール」と入力し、その文字を一部でも持つ顧客名の一覧をコンボボックスの下に表示させて、利用者に選んでもらうという例です。

 
 

 この例では、画面処理プログラムが、名称の一部が入力されたならば、その文字を持つ名称だけをデータベースから検索してコンボボックスに表示させるように、動的にコンボボックスの内容を変えているところを表しています。

 従って、コンボボックスには、あらかじめプログラム内にデータリストが記述されている訳ではなく、データベースの検索によって動的に変わっていくということです。

 しかも、この処理を瞬時に行なっていくことが、データエントリ利用者にとって使い物になるかの分かれ目のところであり、もし秒単位に待たされると、もうそれで使えないということにもなります。(データエントリシステムでないところでも8秒ルールなるものがあり応答時間は重要になっています)

コードを絞り込んで選択するための支援機能

 さらに、コードの多くは、上位コード、中位コード・・・下位コードというように階層型になっていることが多くあります。その場合、上位のコードが選ばれたならば、その選ばれた範囲でデータベースを検索し、下位コードの一覧を表示させることが利用者にとって使い易い画面となります。

 なぜなら、せっかく上位コードを選んだにも関わらず、その下位のコードの全てがリストされたならば、選択のためのデータが多すぎて現実には選べなくなるからです。

 

 ・まず大分類コードを選びます

 

 

 

 

 

 

 

 ・選ばれた大分類コード(食料品)の中での中分類コードを表示します

 
 

 ・選ばれた中分類コード(肉類)の中での製品コードを表示します

 これらは、選ばれた上位のコードに属する下位コードをデータベースから検索してコンボボックスに表示させるという方法をとっています。

 ここでの処理もデータエントリシステムでは瞬時になされる必要があり、それだけの応答時間が保証されるシステムであることが必要とされます。

 従って、どのようなシステムの形態クライアント/サーバWebサーバシステム、WebサーバシステムでもEJBの利用の可否など)にするかが非常に重要なポイントとなります。

 

 以上、コンピュータの都合であるコードの取り扱いを、いかに人間にとっても分かり易くするかについて述べました。

 これは細かいことだと思われる方もおられることと思いますが、実はこのようなささいなことが、利用者にとっては非常に大きなことでもあるのです。

 なぜなら、システム全体を設計・開発している人にとっては、システム全体から言えばこのようなことはワンオブゼムかも知れませんが、画面の利用者にとっては、これが全てであるからなのです。

 
     
   

 

  Rsun,株式会社アールサン,データベース中心主義,コンピュータの都合に合わせるのではなく人間中心